問題多い、マイナンバー法案衆院可決
国民一人ひとりに番号をつけ、税や社会保障などの個人情報を国が管理する「共通番号制度」法案・通称マイナンバー法案が9日の衆議院本会議で可決され参院に送付されました。成立すれば3年後の2016年1月からスタートするという。
日本共産党と生活、社民党が反対しましたが、自民、公明、民主、維新、みんなの各党が賛成し可決。
導入には2,700~3,000億円かかると言われていますが、国民の暮らしにとってどれだけ便利になるかはいまひとつ見えてこない上、費用対効果も示されていないとのこと。結局、政府や自治体が国民の情報を把握しやすくなり、税や社会保険料の徴税強化に使うのが目的のようです。
共通番号制のアメリカでは、他人の番号を不正に入手し、にせのクレジットカードをつくるなどの犯罪が横行。米司法省の報告では、被害は2006年~2008年の3年間で1170万人、総額500億ドル(約5兆円)に達しているそうです。
政府は、「利用範囲限定」によって防止対策になると言いますが、その一方で法案は3年後に民間分野への利用拡大を検討するとしており、防止策にはなりえないことは明らかです。
制度が始まると、マイナンバーは源泉徴収などのため会社にも伝えることになります。社員だけでなく扶養している家族も同様です。会社に蓄積された給与などの情報とあわせて、行政だけでなく会社からも個人情報の流出はありえます。悪意がなくてもコンピューターへの不正侵入や担当者のミスで洩れることもあり、会社倒産となれば管理されずに流出する恐れもあります。
池田では総合窓口がすでに民間委託、今後は福祉の窓口も民営化の方向が打ち出されており、マイナンバー制が実施されればコンピューターで簡単に検索できるようになります。
悪用する人が行政機関や他の会社から洩れた情報も番号で突合しまとめると、多くの情報を蓄積したデータベースがつくられる恐れがあります。もし海外でデータベースができれば海外では法律も適用されないため手出しができないと弁護士連合会も警告を発しています。
弁護士会だけでなく新聞労連も、国が一元管理することは個人の尊重を定めた憲法に違反する疑いが濃厚で「深刻な人権侵害を引き起こしかねないこのような制度は到底受け入れられない」と表明。
法案成立に賛成をした政党の責任は大きいものがあります。国民を縛るのではなく国民が政府に・賛成した政党に厳しい審判を下しましょう。