ふるさとをほんの少し分けてください!
箕面の「NPO千の風」映画会実行委員会が主催する『ふるさとをください』の映画を見てきました。
「NPO千の風」は、街かどデイハウスや中途障害者の方々の生きがいと就労の場を提供するなど、高齢者や障がい者がいつまでも地域で安心して暮らせるようにと様々な支援活動をと2004年8月に特定非営利活動法人として認定されました。
人生半ばにして病気や事故により障がい者となった人たち・中途障害者の作業所「いきがいワーク」を2005年に開所し、いまでは様々な活動が行われていますが、「無認可作業所」から「法定作業所」へとステップアップし一人でも多くの方が通える施設作りをと少し広い場所に移転されます。そのため募金活動とあわせ、チャリティ映画会を開かれました。
映画は、和歌山県の小さな町に精神障がい者の施設・作業所ができますが、街では反対運動がおきます。障がい者に対する偏見が街の人々心を不安に落とし入れますが、大路恵美扮する主人公・片倉千草が作業所職員と知り合い障がいについて学ぶ中で、反対運動の代表者である父親(ベンガル)を変え最後にはその父親が街の人々に訴え、受け入れることになります。
父親と藤田弓子扮する施設長が話し合う中で、父親が「自分たちは障がい者を差別するつもりはないが、この街がふるさとであり、ふるさとを危険から守りたいんだ」というと「施設の子どもたちにほんの少しそのふるさとを分けてください。この子達は帰るふるさとがないんです」と訴えるシーンには泣けました。
作業所職員と付き合いたいという娘に手を挙げ、落ち込んで引きこもってしまう父親。幻聴まで聞こえます。それを心配する子どもたちにクリニックの大久保医師(中山仁)が「人間誰にでも揺れはある。完璧な人間などいない」と諭します。
障害者同士の結婚というテーマも盛り込まれ、障害者をかかえる家族の悩み・苦しみも紹介されていました。
2時間弱という制限のため、結婚に反対する親たちが結婚式に来て祝福をする場面や、街の人たちがみんな結婚式に祝福に来るシーンには、そんなに急に変わるか?と笑ってしまいましたが、ベンガル扮する父親が、街の人たちに「障がい者が危険だからと追い出すのか?じゃあ車が事故を起こすから車をみんな処分するのか?旧住民も新住民もない、よく受け入れたと未来の人たちに恥ずかしくないようにしよう」と訴えるシーンに感動しました。
障がいという重いテーマですが、和歌山の自然の美しさを背景に、笑い多く明るい映画に仕上げられており、ジェームス三木らしい脚本でした。