厚労省の「介護切り」シナリオ
またまた介護保険の認定方式について、厚労省内部文書の所在があきらかになりました。4月からの新方式で給付費を284億~384億円削減できると明記した文書です。
これまで厚労省は要介護認定の改悪について「給付費抑制の意図はない」と説明していましたが、内部文書には、現在5対5になっている「要支援2」と「要介護1」の利用者割合を、要支援2を増やして7対3とし、軽度者からサービスを取り上げるための手口が示されているそうです。
もともと政府は、2006年実施の介護保険改悪で、軽度者のサービス利用を大幅に切り下げるための新予防給付(要支援1・2が対象)を創設しました。
内部文書では、当時、認定調査に基づくコンピューターの一次判定で「要介護1相当」とされた人の7割を「要支援2」に振り分け将来的には最大10%の給付抑制を見込んでいたようですが、現実にはおおむね5対5となっていることを問題視し、その原因を「介護認定審査会委員が判定基準を拡大解釈している」ことにあると述べているそうです。
その対策として、「要介護1、要支援2の判定を行うことの出来る一次判定ソフト作成し、介護認定審査会委員の関与を減らし、地域差をなくすとともに当初想定していた割合に近づける」としています。
これまで要支援2と要介護1の区分けは一時判定では「要介護1相当」とだけ判定され、認定審査会の二次判定で行われていました。しかし4月からの改定では、内部文書のシナリオ通り、コンピューター判定で要支援2と要介護1の区分けが既に行われ、2次判定でそれを確認することになりました。
認定審査会では専門家が経験に照らして、一人暮らしかどうかなど利用者を個別的、具体的に判定する余地が残されていました。しかしコンピューターの一次判定では個別の情報は反映されません。
また、内部文書では、「要介護2、3と認定される原因として二次判定で不適切な重度への変更がなされている」と指摘しているそうです。「審査会委員が認められていない参考指標等を根拠に変更を行っている」と批判し、その対策として「要介護度変更の指標」などの参考指標を審査資料にしないことにしました。
池田での議会審議で私が認定審査の問題について質問をした際、特記事項もあるし主治医の意見を重視するので判定に影響はあまりないと答弁がありました。しかし、厚労省のシナリオは審査会の審査を敵視し委員の関与を減らすものとなっており、二次判定で一次判定を検証し、変更することが困難になります。
その上、福祉用具の貸与費・購入費の削減、高額介護サービス費限度額の引き上げ(37,200円→44,400円)、支給限度額の引き下げ、国庫負担の見直しなどさまざまな改悪メニューがズラリ列挙されているとのこと。
あきらかに介護保険の利用を減らせと指示するものです。「保険あって介護なし」が政府の狙いだと言うことは明白です。本当に油断ならないですね。
軽度のうちにしっかりケアすれば、悪化を防げるのに、逆にサービスを取り上げるなら悪化を促進するだけでなく介護難民を生み出すことになるのではないでしょうか。
参議院厚生労働委員会での日本共産党・小池晃議員の追及に、舛添大臣は「初めて見た。どういう資料か調査したい」と答えたそうです。大臣も知らない文書?変ですね。
やはり新方式は実施せず凍結すべきです。池田市はどのようにして必要な介護を提供するつもりでしょう。