横並び傾向のつよい道徳の教科書…池田は学研を採用
2018年度から小学校で、2019年度からは中学校で道徳が「特別の教科」から正式な教科になります。今各自治体で教科書の選定が行われていますが、うっかりしている間に池田では8月7日の教育委員会議で学研の「みんなの道徳」に決まっていました。
道徳の教科化は、2011年の大津で起きた男子中学生のいじめ自殺事件がきっかけとなり、政府の教育再生会議が13年2月に提言を出し、その後急テンポで進められました。評価は数値ではなく記述式とすることになっています。
しかし、実際に評価する先生方にとって、沢山の子どもたち一人ひとりの理解度をどう評価するのか、これまで通りの他の教科の評価もする上にどこまで踏み込めるのか難しい。
文科省は「考え、議論する道徳」の実現を目指すとしていますが、14年1月に検定基準が改定されたようで、ときの政権の立場が強調される傾向が強まっていると言われています。実際教科書検定で文科省の関与がより積極的になり、相当細かい部分まで意見を付され、その意見に沿ったものに変えなければ合格点が得られない状況になってしまっているようです。
その結果副読本の時より「横並び感」が強まり、識者からは、教科書の内容が画一的で「考える道徳」からは程遠いとの声も出ています。執筆者からも「教科書から多様性が失われ、マニュアル化がすすんでいる」と心配する声も…。「国が良いことと判断した価値観を教科書を通して押し付けることにならないか」とも。
現場の声としても、価値観の画一化や心の内面の評価になりかねない。学習指導要領の内容項目に記されている「家族愛、家族生活の充実」が気になる…との声もあります。たとえば3~4年生の学習指導要領は「父母、祖父母を敬愛し、家族みんなで協力し合って楽しい家庭をつくること」と記しており、父母や祖父母がいる前提で、楽しい家庭をつくることを教科書が方向づけることになります。
現実には「ひとり親家庭の増加など、子どもたちの家庭環境は多様化しています。虐待を受けている子どももいます。そういう子どもたちにとっては、教科書から「あなたの家族はだめなんだよ」と言われているように思うのではないかと心配です。
安倍首相の顔が何度も出てくる教科書もあるそうですが、道徳の教科化が、なんでも右へならえというのも怖ろしい。