京都東山開晴館の教育現場から…
細河コミュニティセンターで池田子どもと教育を守る会主催の「小中一貫教育」についての学習会が開かれました。
市教委が参考にしている、京都東山開晴館の一貫教育について、教育フォーラムに来られた校長先生の話と現場では相当違いがあるとの話を聞き、現場の教師の目から見た京都東山開晴館の話を聞いてみようと企画されたものです。
京都の実態を話していただいたのは、京都市教職員組合・教文部長の細田俊史氏。
東山開晴館は、2中学校と5小学校を統廃合して、2011年4月に開校。まだ出来立てのホヤホヤです。日本一の学校をつくる、最先端の学校を作ると、69億円の巨費を投じ豪華主義の外観の校舎、50センチワイドな教室とワイドな廊下、階段は小学生向けに統一。1年から9年までを4・3・2制の3ステージにわけ、英語活動・音楽・部活動については、小中教職員の相互乗り入れ体制。3年~6年に一部強化担任制(理科、英語、音楽)をとっています。
前回校長先生は、「中学生が小学生に優しく係るようになった」と言っておられましたが、実態は、バス通学の集団登校で、並ばない、遅れる、割り込む、小学生の席を取るなど、逆の状態にあるようです。
小学生は卒業式がなく、節目として小学過程修了式を行うそうですが、卒業式には立派になった6年生が旅立ち、5年生にバトンタッチする、伝統を受け継ぐ儀式であったのにそれが無くなってしまった。9年生を送る会には1年から8年までのすべての学年が参加するそうですが、小さな1年生にはわかりにくいといったことがおきている様です。6年生が小学生の最高学年として育たないことが最大の問題となっているとのこと。
先生方も、開講当初は学校をどうまわすかで手一杯。小学校教員と中学校教員の合意形成に苦労しているそうです。小学校と中学校では教育文化が違うので意思疎通が難しいとか。
運動場は狭く、小学生は遊ぶ場所がなく中庭で遊んでいるそうですが、小学生用の遊具がうんていとジャングルジムのみと貧弱で、いろんな遊具で遊ぶ中で体力をつくって行くことが保障されない。敷地内に樹木もなく学校につきものの桜もない。プール、図工室、美術室などは別の敷地に建設予定とのことですが未完成。プールのある廃校となった学校までは20分かかるらしく、一体どのくらいプールの授業ができているのかと思います。統合前は小規模で水泳指導の時間が多く取れていたようですがそれが無くなってしまい、中学生は市のアリーナに1回行って終りとのこと。
体育祭も、6年生が組み体操をしても、中学3年生がもっと立派にやってしまうなど中学生ばかり目だつ、人が多すぎて出番が少ない、出たい競技に出られないと生徒からも意見が寄せられているそうです。
小中一貫校が、決して子どもたちの教育に良いとは思えない内容が次々と明らかにされました。
また、市教委のフォーラムでは、東山開晴館は統合前の小学校の児童数があまりにも少なくて、PTAや地域から要望があって出来たといわれましたが、実際にはあの手この手で地域から要望させるように、あるいはあきらめさせるように持っていったのだと聞きました。そのために、いかに小中一貫校が素晴らしいかを見せるため見学会をしたり、住宅展示場のモデルハウスのように豪華なものをつくる必要があったようです。
細河も同様のやり方が目に見えるようです。
細河地域では、小中一貫校への要望を取り集めている様ですが、予算は逆に減らされている現状で、すでに問題点はいろいろあっても改善されていないとのこと。本当にこのまますすめることが子どもたちのためになるのか、はなはだ疑問です。
帰りに細河小学校を撮ってきました。自然のかおり豊かな学校です。