シリーズ貧困拡大社会「生活保護世帯の子どもたち」
議会前だったのでビデオに撮っていた、NHKEテレの「シリーズ貧困拡大社会」(5月は子どもの貧困を取り上げていたようですが)今頃再生して観ました。この日(5月14日)は「生活保護世帯の子どもたち」を放映。
子どもたちに「将来何になりたい?」と聞くと、看護師、野球選手、発明家などと次々答えます。無限に広がる夢、しかし今、子どもの未来が脅かされようとしています。
生活保護世帯の子どもたちは25万人、10年前と比べ1.4倍に増加。子どもの数そのものは減っているのに生保世帯の子どもたちは増え続けており、この間子どもへの支援が見過ごされてきたことが問題だと指摘しています。
授業についていけない子どもが増えているそうです。そこには病気の家族の看病をし自分の部屋もない実態があります。父親が脳梗塞で倒れ、生活保護を受け母親が働きに出る。子どもは悩みを相談することもできず、勉強も手につかない。
生活保護を受けている子どもたちはどのような環境におかれているのか、どんな支援が求められているのか…。
TVは神奈川県のある家族を紹介していました。小学5年生の少女と両親、祖父の4人家族。漁師をしていた父親は、台風で漁船が壊れ漁に出ることができず、やむなく生活保護を受給します。電気も水道も3ヶ月滞納、カップメンで凌いでいました。11歳の少女は慢性的栄養不足で体調を壊し学校を休み勝ちに。母親は風呂場で毛布に包まり寝ていました。激しい幻聴に襲われほとんど寝てすごす状態(後にケースワーカーの紹介で入院)。家の中はひどい状態でした。
本来きれい好きだった母親は、3年前から異変(どうやら3年前に祖母がなくなってから)がおこり、統合失調症の疑いが診られるも病院に行かないでいたようです。祖父は寝たきりで、胃ろう状態。祖父の介護、なれない子育てがすべて父親の肩にのしかかり、父親はお酒に頼るようになってしまいます。少女の面倒を見る人はいませんでした。成績はトップクラスでスポーツ好きの少女にとって小学校で過ごすときだけが支えです。
生活保護で経済的不安は解消されても生活環境はひどくお風呂も何ヶ月も入らない状態でした。家族で社会から孤立しています。
これを観て、作家のあさのあつこさんは、子ども個人の未来だけでなくこれでは社会の未来もなくなる。そこまでの危機感が社会にあるだろうかと疑問を投げかけられました。この子どもたちをどう支援していくのかが問われます。
神奈川県では、2年前から「子ども支援員」制度をつくって専門スタッフを配置しているそうです。
この家庭にもスタッフが訪問し、家族全体で子どもを支えられるよう、父親と、祖父と話し合います。少女と対話し、保育士になりたいとの夢を引き出し、子どもの希望に添えるよう支援したいと定期的に訪問。支援員の方は、「自立するためには誰かに支えられる経験が要る」と話しておられました。支えながら、子どもに自立できるよう少しづつ指導援助していきます。「自信を持って生きられるようになって欲しい」といっておられました。
神奈川県では20歳まで支援が受けられるそうです。
この家庭も3年前まではごく普通の家庭でした。それが祖母の死からガラガラと崩れていったわけです。その3年間サポートがなかったことが崩壊を促進しました。
神奈川県では他に、大学生などの力を借り、中学生たちの勉強を見る教室も開いているとか…。池田では大学進学支援のため進学塾の費用を支給する試みを行っていますが、そこに至るまでの支援も必要なのでしょうね。池田の生保世帯の子どもたちの実態はどうなっているのでしょうか。
多かれ少なかれ似たような実態があるかもしれません。子ども支援員はどこでも必要です。