維新の会、「家庭教育条例案」を撤回
「大阪維新の会」大阪市議団が、「家庭教育条例案」の市議会提出を断念し白紙撤回すると総会で決めたそうです。
条例案は、児童虐待の背景に「親心の喪失と親の保護能力の衰退という根本問題がある」と前文に記し、科学的根拠もなしに「伝統的子育てによって発達障害は予防できる」などとしています。
「乳幼児期の愛着形成の不足が軽度発達障害またはそれに似た症状を誘発する大きな要因である」のだそうです。 そのために、「親の学び」が必要だとして、保護者対象の「家庭用道徳副読本」を配布、「1日保育士体験、1日幼稚園教諭体験」を義務化。市長直轄の「家庭教育推進本部」を設置し、推進計画を策定するとしています。
発達障害になるのは愛情が足りない、親の育て方が悪いとでも言わんばかりです。貧困と格差などの社会的背景も問わず、児童虐待も発達障害も親の責任にしようというもの。さらには市長直轄の推進本部を作るというのですから家庭教育・生活のあり方にまで政治介入しようとするものであり問題です。大阪市民は生き方まで市長の言いなりになれということのようです。
これに対して多くの市民からの抗議行動や怒りのメール、ネット上の批判が相次ぎ、さすがに橋下市長も「発達障害を親の愛情欠如が主因と主のは科学的でない」とツィートし、あたかも自分とは関係がなく維新市議団が出そうとしている問題にしようとしています。結局維新の会市議団は議会提出をあきらめ白紙撤回とせざるを得なくなりました。
橋下市長は、ドドーンとやりたい放題の内容を押し付け、市民の怒りが大きければ引っ込めるというやり方ですが、市民が声をあげなければそのまま押し通すというとんでもない手法をつかいます。市民は提案されるたびに注意が必要でおちおちしていられません。しかし何が提案されているかもわからなければチェックも出来ず、気がつけば福祉を切捨て自立という形で個人の責任にされかねません。白紙委任したわけでは決してなかったはずなのに…。