「失業しても幸せでいられる国」…その1
県立広島大学教授・都留民子さんの著書「失業しても幸せでいられる国」を読んでいます。
1週間の労働時間は35時間。パン屋さんは土日月はお休み、定年後に働く人はいません。失業者もバカンスに行きます。出生率向上は子育てが無料だからです…。日本の行方を案ずる人にお薦めの1冊です。~~この本の帯にある文章~~中々興味深いと思いませんか?
毎年フランスに滞在し、普段着のフランス人の人々と暮らしながらフランスの社会保障制度を研究しておられるだけに、具体的に日本と比較をして労働のあり方、社会保障とは、国のあるべき姿についてインタビュー方式で書かれた本です。
なぜ日本で貧困と格差が広がるのか。
日本では勤労者が生み出した富を、勤労者にちゃんと分配していないことが最大の原因。富の配分には第一次分配と、第二次分配があり、第一次分配とは労働への分配、賃金のこと。1日8時間働いて最低賃金で食べられる、生活できる、労働力の再生産ができて結婚して子どもを産むことができる。それが第一だと先生は説きます。
しかし日本の賃金は低すぎます。特に最低賃金が低すぎる。最低賃金とは、何の訓練も受けていない人の賃金であり、学歴も技術もない人が生活できる賃金でなくてはダメだということです。
第二次分配は社会保障です。今の日本は第二次分配であるはずの社会保障が逆進性となっており収奪機構になっていると指摘しておられます。確かに高すぎる保険料・利用料・医療費などに生活が圧迫されています。
日本の労働は再配分どころではなく、第一次分配(低賃金)で貧困になり、第二次分配でさらに貧困になっている。これが日本の貧困の原因だと…。
フランスは、10年前からワークシェアリングとして週35時間制になっているそうです。実働時間は管理職を入れても残業を含めて37~38時間。39時間以上は働いてはいけません。
かつては残業をすると多額の税金をかけ、残業代もとても高くて、企業にとっても従業員にとっても残業は何のメリットもないという仕組みをつくっていたそうです。それをサルコジ大統領が変え、残業を割増賃金に変えたとか。それでも39時間以上の労働は禁止です。
ちなみに全労働者の4分の1が公務員だそうです。国の責任で社会保障を充実させるということはそれだけ公務員が必要だということでしょう。
日本は低賃金で働かされ、社会保障はどんどん切りすてる。正規社員は不安定雇用に追いやられ、公務員がは賃金が高すぎる、人数が多すぎるとバッシングを受ける。そうではなくて民間の、全労働者の賃金をこそ引き上げるべきなのに、低いほうへ低いほうへと賃下げ競争しているようです。フランスの労働のあり方と全く逆ですね。
私たちは、もっと労働のあり方をフランスから学ぶべきなのではないでしょうか。