「税と社会保障」本当の意味は…?その2
昨日は税の本来の役割について取り上げましたが、今日は、社会保障とは何かについて学んだ内容です。
社会保障とは、資本主義が生み出す生活問題に対する国家政策であり、社会主義社会には必要のないもの。 すべての国民に対する最低限度の生活を“生存権”として社会的に保障することを目的にした政策形態です。
そのための手段・制度としては2つ挙げられます。
1、現金給付・所得保障…病気や失業、出産、老齢など何らかの理由で働けない場合の代替的所得保障です。その中核として社会保険がおかれ、これを保管する制度として生活保護や年金など公的扶助や児童手当などがあります。
2、現物給付・サービス保障…心身上の障害・高齢による要支援・介護ニーズ対する人的・物的サービス保障を公的責任で行う社会福祉~とあります。
雇用の場が確保され、人間らしい賃金が支給され、働き続けられる環境を整えれば、社会保障費は抑制できますが、今は無法状態のように、人員削減、賃金カットが進み、生存権をおびやかしているため、社会保障費が急増せざるを得ないのではないでしょうか。ところが今度はその社会保障費を増やすどころかカットするのでは、社会保障の本来の役割をも放棄しようとしているといわざるを得ません。
では、「貧困」と「格差」とはどういうことか。
「貧困」とは、勤労者がつくり出す富が不平等に分配されていること。「格差」とは不平等に分配された富が一握りの人間に集中していること。これらは資本主義の構造から招かれるものである、とは広島大学の釣る教授の弁。
いかに不平等に分配されているか。
2010年7月のの週間「東洋経済」によると、大阪に本社のある企業の役員報酬のトップが武田薬品工業の前取締役海外販売統括職・アランマッケンジー氏(57歳)で5億5300万円だそうです。非正規で働いている青年たちが年収200万円で40年間働き続けても8000万円。それを1年で5億円ですから一生働き続けても手に入らない金額です。
住友商事の社長は1億8600万円、パナソニックの会長(71歳)は1億2,200万円。オリックス、エディオン、ダイキン工業、ホシデン、日本板硝子、住友金属工業、岩谷産業、伊藤忠商事etc. 社長、会長さんたちの報酬はみんな1億円を超えています。ここで働く労働者の生涯賃金を1年で持っていくんですね。
でも利益を生み出しているのは労働者や下請けさんたちです。富の分配はとても不平等です。
ちなみに2010年の大企業の内部留保金は266兆円。一方民間平均年収は412万円。
大阪に本社を置く大企業の内部留保金を従業員で割ると、一人当たりの内部留保額は6027万円もあるそうです。全部取り崩さなくても、1%取り崩すだけで60万円・月5万円賃上げできることになります。ほんの1割従業員の給料に回せば1000万円の年収になるんですよね。