本当のチルドレンファースト…子ども最優先を!
「チルドレンファースト」(子ども最優先)…これは一昨年の総選挙で民主党がかかげた政策です。良い言葉です。
与党になって早速「子ども・子育てビジョン」を発表し、そこには「子どもを大切にする社会をつくりたい…それは私たち人間すべてが子どもである時代を経て、大人へと成長する存在だからです。子どもは社会の希望であり、未来の力です。…子どもの笑顔があふれる社会は個人の希望や夢を大切にする社会」だからこそ社会全体で子どもと子育てを応援したいと書いてあるそうです。
しかし実際はどうなんでしょう。
「こども手当て」は親の所得に関係なくすべての子どもたちに給付をするという一見平等のようですが、その一方で扶養控除をカットする増税とセットになっており、結果的には消費税同様、低所得者に負担を強いることになっているのではないでしょうか。
今国会に提出しようとしている「子ども・子育て新システム」(案)は、幼稚園と保育所を一つにしに、関係省庁を一つにする(文科省と厚労省を子ども庁に)とか、規制緩和をして民間企業が保育事業に参加するなど、基本は予算のスリム化のように思えます。
幼保一体化の「子ども園」は保育の介護保険化と言わざるを得ません。
1つは直接契約の問題。いまは児童福祉法に基づいて自治体の責任で「保育に欠ける子」を入所させる仕組みですが、新システムでは親が自分で探して直接保育所(園)と契約を結ぶことになります。
2つ目は応益負担…保育料は利用時間に応じて支払います。
3つ目は認定化です。親が働く時間に応じて、利用できる保育時間を認定するシステムです。
3つとも、介護保険制度の要介護度認定、利用料、事業所との契約などによく似ています。しかし、保育の必要度と親が払える能力とは比例しません。むしろ低賃金でダブルワーク・トリプルワークしなければ生活できない母子家庭などは長時間働いても所得は正規労働者に追いつかないという実態があります。
すでに介護保険では、認定された7割の人が経済的理由で利用を上限枠より低く抑えています。この制度が導入されたら保育に欠ける子どもたちの保育はどうなるのでしょう。本当に必要な子どもたちから保育を取り上げることになりかねず大変危険です。
本当の意味での「チルドレンファースト」を実現させましょう。