いつだって 心は生きている
先日視察で大牟田市に行きましたが、「認知症」の取り組みのなかで小中学校で絵本を使って学ぶ報告がありました。子どもたちが認知症を正しく理解し、支援の大切さを学ぶこと、家族や地域に伝えていくことで、誰もが安心して暮らせるまちへと発展させるというねらいがあるようです。
絵本の扉の詩をご紹介します。M.Ryuenさんのサインがありました。
あなたへ
おーい、だれかー。
暗い闇の中、わたしはどこにいるのだろう?
ここはどこ? いま何時なの?
そこで怖い目をしてわたしを見ているのは誰なの?
どうしてそんな大きな声で私を叱るの?
そんなに強く手を引かないで、私の行く道をふさがないで、
こんなところに閉じ込めないで…。
怖いよ、助けて。
どこへ行けばいいの?
何をすればいいの?
わたしにはわからない。ここがどこで、あなたが誰なのかも…。
ああ、手が温かくなってきた。
誰かがわたしの手をやさしく握り、微笑んでいる。
わたしにゆっくりとやさしく語りかけてくる。
肩の力がとれ、暖かい日差しに包まれたように、
やわらかな気持ちになる。
まるで心が生き返るかのように。
あなたがそばにいると、わたしは楽になり安心できる。
わたしの行く道にただ寄り添っているあなた。
あなたの名前も、この場所も、何もわからなくなったけれど、
わたしを大事に思ってくれていることだけはわかります。
わたしには何も残っていないように見えるかもしれないけれど、
怒りや、悲しみもあり、
何よりも、あなたと喜びを感じ合いたいと思っています。
いつだって、心は生きているのだから。
この最後のフレーズ「いつだって、心は生きている」が絵本の題です。認知症の方の心のうちを知らされた気がしました。